緩和ケア

【終末期の家族ケア】声かけに悩む新人ナースがまず意識すべきこと

サキ@新人ナース
サキ@新人ナース
終末期の患者さんを担当し始めました。

患者さんのご家族と話していると泣きそうになってしまいます。

どんな関わりをしたら良いのか…かける言葉も見つかりません…。

終末期(ターミナル期)患者さんを担当し始めると、多くの新人さんがぶつかるこの壁。

hana
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私自身、終末期患者さんやご家族とどう関わればいいか分からず悩む新人でした。

仕事後も悲しくて、気持ちが暗くなってしまうこともしばしばありました。

 

初めて余命宣告に同席した時は辛くて部屋を飛び出したくなったし、心電図がフラットになった時は怖くて部屋に入れなかったし、突然死で泣き叫ぶ家族にどう振舞っていいか分かりませんでした。

 

あと数日しか持たないと告げられた患者さんの家族と、何を話したら良いんだろう…。

明らかに呼吸停止した患者さんを前に、家族に何て言ったら良いんだろう…。

部屋に到着して泣き崩れている家族に、どう接したら良いんだろう。

かなり悩んだし苦しかったです。

hana
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この記事では、終末期患者さんのご家族に対するケアに悩む新人ナースさんがまず意識すべきことを緩和ケア病棟に勤めていた私の経験から書いていきます。

【終末期の家族ケア】声かけに悩む新人ナースがまず意識すべきこと

hana
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では、終末期患者さんのご家族に対するケアに悩む新人ナースさんが意識すべきことを紹介します。

新人だとしても、患者家族から見たらあなたはプロ

あなたは新人看護師です。

ですが、患者家族から見たらプロの一人なんです。

hana
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新人ナース時代「悲しむ家族と話していて、つられて泣いてしまう…」と話したとき先輩に言われました。

「患者家族としっかり関係を築けているからこそ出てくる悲しさってあるよね。けど、あなたは看護師だからね?友達でも親戚でもないの。仕事としてお給料をいただくプロとして何が求められていると思う?」

 

あ、そうだった…。

私は看護師だった。

 

このやりとりをきっかけに私は、看護師・プロとしての自分を意識するようになりました。

hana
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かっこいい言い方をしちゃいましたが、この視点が持てると出来ることがどんどん出てきます。

正直、私たちナースの時間は限られていますよね。

一人の患者さんに何時間もゆっくりさけるわけではありません。

 

限られた時間の中で何ができるでしょう?

無駄のない先回りしたケアを提供することで、患者さんやご家族と私たちの関係性もどんどん変わっていきます。

泣いてもいいけれど、役割はしっかり果たす

泣いてもいいけれど、看護師としての役割をしっかり果たすことも忘れないようにしましょう。

そしてナースは患者さん・ご家族の前で泣いても良いのでしょうか?

 

泣いても良いですよ。

私たちナースも人間です。

患者さんに死が迫っているのを間近で見続けるのは悲しいです。

患者さんだけではなく、ご家族が悲しんでいる様子をみるのも辛いです。

 

どんどん衰弱していく患者さんにケアをし、色んな感情をダイレクトに受け取るんですから混乱もします。

そんな中で相手の気持ちに寄り添うのって、あなたが感じている以上に感情労働なんですよ。

まずはそんな自分をねぎらいましょう。

死という繊細なテーマを前に、家族の気持ちを引き出すことはナースの大切な役割だと私は思います。

思いを共有して一緒に泣いたとか、家族が正直な気持ちを話してくれたとか、それもじゅうぶん素晴らしいです。

 

だた、共感して一緒に涙を流すだけならナースでなくともできるはず。

繰り返しになりますが、あなたは友達や親戚ではなく看護師(プロ)としてそこにいます。

 

泣いてもいいけれど、看護師としての役割をしっかり果たすこと、忘れないようにしましょう。

終末期患者さんや家族に対して構えすぎない

終末期患者さんやそのご家族に対し、必要以上に構えすぎないのも個人的に大切にしています。

終末期患者さんやその家族に対し、必要以上に構えている新人ナースさんが多いと思います。

hana
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偉そうに言う私も、新人時代はものすごい構えていました。

なんて言えばいいんでしょう…、当時は、死が迫っているという一面だけを意識しすぎて、患者さんや家族の全体像を看ることを忘れていたんです。

 

亡くなるまでは生きているんですよ、誰だって。

そして私たちと同じ人間です。

hana
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どんな幸せや挫折を経験して、何を大切に生きてきたのか。

考えたり聞いてみたことはありますか?

怖がらないで患者さんや家族を知ろうとする過程、関係を築く上でとても大切です。

美しい最期にこだわりすぎない

あなたは、美しい最期にこだわり過ぎていませんか?

 

学校で終末期ケアを勉強したものの、考えが浅はかだった私。

終末期ケア=死の瞬間をいかにドラマチックに美しく迎えるか、みたいな映画やドキュメンタリーの影響を受けまくった価値観で埋め尽くされていたのです。

 

しかしいくつものお看取りを経験し、患者さんや家族が望む最期は本当にそれぞれだと思い知らされました。

テレビや小説と現実は違います。

必ずしも「皆に囲まれて穏やかに…」という旅立ちを望んでいるわけではありません。

壮絶な最期を迎えるケースだってあります。

hana
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亡くなるまでは生きているという当たり前の視点を忘れないことも、終末期ケースに関わる上で欠かせない視点だと思います。

終末期患者さんの家族へのケア・声かけ

hana
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それでは具体的に、終末期患者さんの家族にできるケア・声かけを一緒に見ていきましょう。

ここで一つ覚えておいて欲しいのが、会話を長続きさせることを目的にしないことです。

終末期 男性患者Aさん(60代)のケース

推定予後は2〜3週間、ここ数日で急激にADLが低下している。

朝早くから夜遅くまで毎日面会にきている妻(60代)。

Aさんの状態が悪化するにつれ顔色が悪くなってきている。

ため息をつく様子も見られる。

気持ちを想像してみる

まず「ご家族は今、どんな気持ちを抱えているのだろう?」と想像してみましょう。

 

混乱・動揺・苛立ち・孤独感・自責感・不安・落ち込み・後悔・自己犠牲感・疲労感・緊張感・無力感・感謝・愛情…

終末期患者さんの家族は、様々な気持ちを経験しています。

 

少しでもお話ができるならそれも参考に、会話がなかなか続かない…と思う方も表情や行動をみてみましょう。

hana
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ちょっとした家族の様子から収集できる情報は多々あります。

Aさんの奥さんは、どんな気持ちを抱えているでしょうか?

  • 連日の面会で疲労感が溜まっているのかな?
  • Aさんへの愛情が強い人なのかな?
  • 疲れている様子なのに、毎日面会に来るのは何でだろう?(自己犠牲感、無力感?)
  • 最近笑顔が全くなくて顔がこわばっているな…。(不安・緊張?)
  • ため息をついていたなぁ(落ち込み、後悔、無力感?)
  • 顔色が悪いけどあまり眠れていないのかな?
  • 食事は摂れているのかな?

(不眠や食欲不振など生活に支障が出ている場合、精神的サポートを受ける必要性が出てきます。)

 

どうですか?

会話できなくても想像できることって意外と多いです。

それぞれの気持ちに対しできることを考えてみる

予想される気持ちをきっかけに会話を広げる中で、家族が感じている想いを知ることができます。

hana
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意図的なコニュニケーション、とても大切です。

次は想像をもとに、気持ちを掘り下げてみましょう。

Aさんへの愛情が強いのかな。

→どんな関係性の夫婦なんだろう?

→これまで奥さんはAさんに頼りきりで、一人で送る人生を想像できなくて苦しい。また、何かしてあげたいけれど、何もしてあげられないもどかしさや無力感を感じている。

妻がAさんにできること(してあげていると思えること)を提案、または一緒に考える。

患者さんに何かしてあげたいけれど、何をしたら良いのか分からないと思っているご家族って多いです。

まずは、ご家族が近くにいるだけで患者さんの安心感に繋がっているという保証を医療者から伝えましょう。

手を握ったり背中や下腿浮腫をマッサージする、といったことも医療者から言われないとできない(してはいけないと思っている)方もいます。

hana
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ご家族が患者さんにできることを具体的に提案するのも、ナースの大切な役割です。

疲れている様子なのに毎日面会に来ているな。

→自分を犠牲にしている状況の裏にはどんな気持ちがあるのだろう?

→何もしてあげられないから、せめて面会ぐらいは毎日しないとと思っている。正直疲れているが、自分が来ないことでAさんが悲しむのも辛い。

しっかり休むことを提案してみる。面会に来ていない時間の様子をきちんと伝える。

「毎日お見舞いに来ないとダメだ」と思っているご家族も時々います。

その中には、しっかり休む(休んでも良い)ことをこちらが保証・背中を押すことで、ようやく休めるケースも多いです。面会に来ていない時間帯の様子をしっかり伝えることも、ご家族の安心感に繋がります。

番外編:ご家族は受け入れ良好です←?

hana
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これは完全に私のつぶやきです。興味のある方だけどうぞ。

終末期患者さんのカンファレンス等でよく見るテーマ。

家族は死を受け入れているのか?

 

「ご家族は受け入れができています」と話すスタッフがいましたが、本当にそうでしょうか?

私がこの表現に違和感を感じたのは泣き虫新人ナース時代。

 

第三者の私でさえ悲しいのに、家族はすぐ受け入れられるの?

身近な人の死って、そんな簡単に受け入れられるの?

亡くなったあとだって辛いんじゃないの?

 

この話から私が言いたいのは、家族の人生は患者さんの死を通過点に今後も続いていくということです。

家族は紆余曲折を経て、故人のいない日常に適応していきます。

 

病棟ナースは、入院中しか関わることができません。

入院〜お看取りまでの間は落ち着いて過ごしている(ように見える)家族。

hana
hana
退院し、私たちとの関わりが途絶えたあとから感じる気持ちの辛さに、今ナースができることって何でしょう?

まとめ

最後まで読んでくださりありがとうございました。

終末期患者さんの家族との関わりに悩むあなたの参考になったら嬉しいです。

hana
hana
悩む時期を経て看護師としての経験値が貯まっていくと思うので、あまり落ち込まずに頑張ってみてくださいね。